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ちば動物愛護協会

ペットブームの光と影

一昔前のTV コマーシャルが発端となった「くぅちゃん(チワワ)」ブーム、そして 昨今顕著に見られる猫ブーム等、一部メディアの影響もあり、ペットショップを訪れる人、 そこで動物を新しい家族の一員として迎え入れる人が増えています。実際、ペット産業の 売り上げ推移も緩やかではあるが右肩上がりであり、売り上げの半数以上が生体販売に よる利益であることが明らかになっています。(矢野経済研究所調べ 2018 年)
たっぷりの愛情を注いで生涯世話をしている人が大多数であると願っていますが、残念 ながら無責任に途中で飼育を放棄し、小さな命を見捨ててしまう人も多く存在します。そ んな不遇に見舞われる動物を減らしていくために、私たちにできることは何でしょうか。

ペットブーム産業の実態

日本のペットショップにおける生体販売による利益の多くを占めているのが、室内飼いができる小型犬、猫であり、純血統種であることが多い。特に犬に関しては抜け毛の少ない犬種が人気であり、店頭に並んでいる子犬のほとんどがそれに当てはまります。対して、中大型犬や、日本犬の雑種は販売生体数は少ないものの売れ残ってしまうことが多く、(店によって値段の差は大きいが)概ね20 ~ 50 万円で販売されている人気の小型種に対して売れ残って大きく育ってしまった子は数万円で販売されていますが、それでも買い手が現れなかった場合は通称”引き取り屋”と呼ばれる専門業者が有料で引き取り、劣悪な環境に身を置かせその死を待ち、可燃ごみとして処分されてしまうという残酷すぎる末路をたどることになってしまいます。
かつては売れ残りや繁殖用の犬猫はすべて自治体の保健所に持ち込まれていましたが、2013 年に動物愛護法が改正されて以降、保健所で収容できる生体の制限数を超えてしまうという事態が発生し、あぶれてしまった子たちは引き取り屋に買い取られていく…。目を背けたくなるほどの凄惨な事実ですが、向き合って解決しなければならない課題です。

日本国内における保護猫・保護犬の殺処分の状況

自治体の管理下ベースでは、動物愛護法の改正以降、殺処分の件数は年々下がっており、譲渡数も増加していてその成果を感じますが、一方で闇ビジネスである引き取り屋がどの程度の生体を買い取っているのか正確な数字は出ていませんが、多い少ないに関わらずなくしていかなければいけないビジネスであることは、倫理的には確かです。
また、引き取り屋はペットショップの売れ残り以外にも、繁殖能力を失ったパピーミルからの犬猫も買い取っており、パピーミル(※) に関する問題もペットショップなどでの生体販売問題に結びついています。
※パピーミル…正規ブリーダー以外の子犬子猫の仕入れ先。(そのほとんどが劣悪な環境)

動物と人間の幸せな共存を目指して

猫と人間は1 万年、犬と人間は2 ~ 4 万年も前から共生してきたといわれており、今日までその友情は続いています。しかし最近はYouTube 等での広告費稼ぎ目的でペットを飼い始める人もいるという話もあります。命に値段をつけ、手軽に購入できてしまう環境があってよいのでしょうか。今一度、命の重みを真剣に考え、動物との共存・共生の在り方を見直す必要があります。小さな子犬、子猫は可愛いけれど、ペットショップで購入するのではなく自治体の保健所から「定められた命の期限」がある犬猫を引き取ることも視野に入れ、加えて、長い目で見てペットを家族として迎え入れる覚悟と準備を整えた上で、最後まで責任をもって飼育できる人だけが動物を引き取れるよう、また、多量の生体販売、無理な犬猫の繁殖をなくすための更なる案と努力が必要です。